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脳健康状態レポート
患者名:Anonymous
年齢:60
性別:女
受診日:2019年4月2日
脳健康状態レポート
あなたの脳のMRI画像

脳の萎縮の度合い評価について
あなたの萎縮度合い
A
B
C
D
下にあなたの脳萎縮の度合いの結果を示しました。星印があなたの結果で、青い点が過去に収集した脳ドック受診者のデータです。複数の星印がある場合は、あなたの過去のデータを示しています。この図によりあなたの萎縮度合いを同年代の方々と比較することが可能になります。脳の萎縮と認知機能の低下は、誰にでも起こる加齢による変化です。しかし、それは個人差が大きく、生活習慣が大きくかかわっていると言われています。脳の健康を保つための指標としてお使いください。

受診日 | 判定 |
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2019年4月2日 | B評価 |
あなたの脳の形

脳はいくつかの部位から構成されており、部位ごとに違う機能を持つと言われています。左の図は、あなたの脳の形を示しています(A:大きい↔D:小さい)。加齢による脳の萎縮は人により異なる部位から始まることがあります。左の図から自分の脳の形を知り、部位による経年変化を知るための指標としてお使いください。
各部位の受け持つ機能
【前頭葉】行動の計画、遂行といった高次な機能
【頭頂葉・後頭葉】感覚、視覚、環境認識
【側頭葉】言語、聴覚、記憶、感情
【脳深部】感覚、運動
脳血管の健康の度合い評価について
あなたの脳血管の健康度
A
B
C
D
あなたの脳の白質と呼ばれる部位に、血管の健康度の低下を示すと言われる部位が加齢と共に広がり始めます。下にこの部位のあなたの体積測定結果を示しました。星印があなたの結果で、青い点が過去に収集した脳ドック受診者のデータです。複数の星印がある場合は、あなたの過去のデータを示しています。これは誰にでも起きる加齢による変化の一つですが、個人差が大きく、高血圧をはじめとする生活習慣が大きな影響を持つと言われています。脳の健康を保つための指標としてお使いください。

受診日 | 判定 |
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2019年4月2日 | D評価 |
解釈の指針:一次予防と二次予防について
健康診断の重要な役割に、一次予防と二次予防があります。
・一次予防は、病気になる以前に健康状態を知らせる指標を見える化し、生活習慣の改善を通して健康を保つことを目的としています。
・二次予防とは病気をなるべく早く検出・診断し、効果的な治療へと導くことです。。
本レポートは、一次予防のお役に立つことを目的としております。
あなたの脳は脳ドック健診ですでに医師の診断を受けており、医師から疾病の診断を受けた方は、医師の指示に従ってください。
医師から疾病の診断を受けなかった場合、あなたの脳は正常です。本レポートは、医学上正常な範囲の受診者様の加齢による脳の変化を、同年代の方と比較した結果をお届けしております。もしD判定であっても、それは何らかの疾病を意味しているわけではありません。 その一方で、MVision healthが指標として提供する脳健康の指標は、高血圧、血糖、飲酒、肥満、喫煙等により影響を受けることが報告されています。 自分の脳の加齢による変化の度合いと生活習慣が脳の健康に及ぼす影響を知ることから、いつまでも若々しい脳を保つ努力の指標として、本レポートをお使いください。
若年~中年層の方々 (30~50代)
D評価でも脳の萎縮や血管の健康度の低下度合いはまだ小さく、また生まれつきの可能性もあるため、過度の心配は不必要です。用心のため生活習慣に懸念のある方は早い時期から改善に努め、数年に一回の脳ドック検査を通して値が安定していることを確認することを勧めます。
中年後期~老年層の方(60代以降)
各指標の値が同年代の方よりかなり離れている、あるいはここ数年で値が急速に低下している方で不安を感じられている方々には、もの忘れ外来(メモリークリニック)を受診されるいい機会かもしれません。
適切な一次予防を行うことは、脳の健康のみならず様々な生活習慣病のリスクをも低減することが知られています。今回のレポートが、そのきっかけとなることを祈っております。
本レポートの結果等でご質問のある方はinfo@corporate-m.comにご連絡ください。
認知症の基礎知識
脳はあなたのクオリティ オブ ライフで最も大切な臓器です
介護が必要となった要因

私たちの平均寿命は毎年伸び続けています。しかし、健康寿命は平均寿命に対し男性で-8年、女性で-12年と過去20年ほとんど変わっていません。私たちから健康(クオリティオブライフ)を奪う最大の要因は癌でも心臓病でもなく、脳の健康であることをご存知でしょうか?
認知症は近年急速に増加しています

要介護となる要因の推移を見てみると2016年から認知症がトップになっており、要介護の4人に1人が認知症が原因です。健康寿命を保つためには、認知症対策が最も大切な方策になりつつあります
認知症にはいくつかのタイプがあります

認知症には、脳の萎縮を伴うタイプ(アルツハイマー型等)と脳の血管の劣化を伴うものがあり、前者は半数以上、後者が2-3割を占めています。MVisionbrainは脳の萎縮と脳血管劣化の両方を測ることにより両者のタイプに対応しています。
近年の研究から認知症は生活習慣病ということがわかり始めてます
認知症は、様々な生活習慣因子により発症リスクが上がることが報告されています。そして、発症の数十年前から始まっている可能性が指摘され、一度発症すると治療法がないことから、中年期から脳の萎縮状況と脳血管劣化の状態を知り、生活習慣改善を通して早期対応がキーとなります
脳健康を維持し、認知症と脳血管疾患リスクを減らすための指針
脳の萎縮や脳血管性病変(白質病変)は、認知症や脳血管疾患(脳梗塞、脳出血)の前兆となる大切な特徴として知られています。そして、これらの特徴は、ともに様々な生活習慣要因がリスク因子として知られています。

脳健康を維持するうえで知っておくべきことは3つあります。
1.生活習慣が大きな影響を持っていること
2.脳の健康劣化は長い時間をかけて進行していること
3.脳の神経細胞は一度減ると再生が難しいこと
です。したがって、予防は脳の病気が始まる前の中年期から始めることが非常に大切です。下記に認知症や脳血管性疾患のリスクに影響を及ぼす主な生活習慣要因をまとめました。これらの要因の多くは健康診断から得られ、かつ生活習慣改善によりコントロールできるものです。また、それぞれが「蜘蛛の巣」のようにつながっていることがわかります。例えば、
・カロリー過多の食事と運動不足は肥満を招き、高血糖、高脂血症や高血圧にもつながります
・過度の飲酒はアルコールの毒性だけではなく、食生活や運動のための時間管理にも悪影響をもたらします
本レポートの結果が、生活習慣を見直す機会になれば幸いです。
脳健康を維持し、認知症と脳血管疾患リスクを減らすための指針

高血圧
中年期高血圧は認知症リスク60%↑
中年期の高血圧は、脳の萎縮・脳血管性病変の双方のリスクであることが知られています。例えば、中年期高血圧を持っていた方は、認知症のリスクが6割高くなる(1.6倍)という報告があります。私たちの研究でも、中年期高血圧と脳萎縮の関係が示されています。高血圧は、主に食事(塩分)、肥満、ストレス等で引き起こされます。また、過度の飲酒、運動不足、ストレス、睡眠時無呼吸症候群、不眠も関係すると知られています。高血圧の改善には、生活習慣の見直しが必要です。血圧の「上」(収縮期)135 mm Hg 以上、「下」(拡張期)85 mm Hg以上の方は、改善を心がけましょう。

肥満
中年期肥満は認知症リスク 60%↑
中年期の肥満により認知症のリスクが6割高くなる(1.6倍)ことが報告されています。リスクが高まる肥満度の目安はBMI30以上という報告もあります。また、内臓脂肪型肥満(腹囲やCTによる測定が可能)が動脈硬化を引き起こし脳梗塞につながることが広く知られています。私たちの研究でもCTによる内臓脂肪面積が100 cm2 を超えると脳の萎縮につながることが示されています。肥満は高血圧や糖尿病、高脂血症といった他の認知症や脳血管性疾患のリスク因子とのつながりもあります。体重・体脂肪のコントロールを心がけましょう。

血糖
老年期糖尿は認知症リスク50%↑
糖尿病により、認知症のリスクが5割高くなる(1.5倍)という報告があります。私たちの研究でも中年後期に125 ml/dL を超える高血糖と脳の萎縮の関連が示されています。脳血管性疾患への影響はより深刻で、発症リスクは2-4倍に上ると言われています。高血糖には肥満や過食、運動不足、ストレス等の生活習慣が大きく影響を及ぼします。改善を心がけましょう。

高脂血症(コレステロール、中性脂肪)
中年期の高血圧は、脳の萎縮・脳血管性病変の双方のリスクであることが知られています。例えば、中年期高血圧を持っていた方は、認知症のリスクが6割高くなる(1.6倍)という報告があります。私たちの研究でも、中年期高血圧と脳萎縮の関係が示されています。高血圧は、主に食事(塩分)、肥満、ストレス等で引き起こされます。また、過度の飲酒、運動不足、ストレス、睡眠時無呼吸症候群、不眠も関係すると知られています。高血圧の改善には、生活習慣の見直しが必要です。血圧の「上」(収縮期)135 mm Hg 以上、「下」(拡張期)85 mm Hg以上の方は、改善を心がけましょう。

過度の飲酒
中年期飲酒は認知症リスク40%
過去の研究から1週間21ユニット(缶ビール1缶330 ml で12.4本に相当)以上の飲酒により、認知症リスクが4割高くなる(1.4倍)ことが報告されています。私たちの研究では週6-7回の飲酒が認知症や脳の萎縮に影響することが示されています。なお、脳血管性疾患については、「適度な飲酒が好影響をもたらす可能性が報告されていますが、これにはストレス軽減や社会性つながりといった副次的効果も含まれている可能性があります。過度の飲酒は脳血管性疾患のリスクも高めることが知られています。飲酒量・回数を減らすことを心がけましょう。

喫煙
老年期喫煙は認知症リスク60%
喫煙により、血管が詰まりやすい状態になり、動脈硬化を促進することが知られており、脳血管性疾患リスクが5割高くなる(1.5倍)と言われています。認知症については、高齢者の喫煙によりリスクが6割高くなる(1.6倍)という報告もあります。喫煙は発がんリスクを高めることも指摘されています。今回のレポートに懸念を持たれた方には、これを機に禁煙されることをお勧めします。

運動不足
老年期運動不足は認知症リスク40%
喫煙により、血管が詰まりやすい状態になり、動脈硬化を促進することが知られており、脳血管性疾患リスクが5割高くなる(1.5倍)と言われています。認知症については、高齢者の喫煙によりリスクが6割高くなる(1.6倍)という報告もあります。喫煙は発がんリスクを高めることも指摘されています。今回のレポートに懸念を持たれた方には、これを機に禁煙されることをお勧めします。

ストレス
ストレスは脳に過剰な負荷がかかっている状態であり、脳を始め多くの臓器に影響を与えることが知られています。認知症や脳血管疾患への影響も多くの報告があります。ストレスについてはまだわからないことが多くありますが、今回の判定に懸念を持たれた方々には、ストレスチェック等を活用したストレスマネジメントを早いうちに取り入れることをお勧めします。現在ストレスチェックは多くの会社に取り入れられています。そのようなサービスやサポートを上手に使い、脳健康に大きな影響がある可能性のあるこの要因の軽減に努めましょう。

鬱(うつ)
老年期鬱は認知症リスク90%
鬱が認知症に及ぼす影響はまだ研究が進んでいる段階ですが、鬱になることにより認知症のリスクが2倍近くになるという報告があります。上記のストレスマネジメントと同様、メンタルケアも今後非常に大切になります。自治体や所属企業から提供されるシステムを上手に活用することも選択肢です。

食事
食事が脳血管性疾患に大きな影響を与えることは知られていますが、認知症に対してもその影響が報告されています。まず、摂取カロリーは上で述べた肥満に直接影響を与えます。そして、重要なのは栄養バランスです。脳血管疾患へのリスクに影響する食事として、例えば以下が知られています。
・脳血管疾患のリスクを上げる食事:アルコール、飽和脂肪酸、塩蔵品、食塩が多く含まれる加工食品、調味料、過剰な糖分
・脳血管疾患の予防となる食事:DHA/EPA を多く含む青魚、ベータカロチン/ビタミンCを多く含む緑黄色野菜、水溶性食物繊維/カリウムを多く含む海藻類、ポリフェノール/カリウムを多く含む果物、オレイン酸を含むオリーブオイルや菜種油、マグネシウム/カリウムを多く含む大豆
シニア世代に特有の要因
老年期社会的つながり不足は認知症リスク60%↑
以上、認知症と脳血管性疾患への影響が報告されている生活習慣要因を挙げました。これらに加え、シニア(65歳以上)の方に特有の要因があります。これらは主に認知症に関する要因です。すなわち、
・退職による社会とのつながり不足
・生活の不活性化による認知機能への刺激の低下や運動不足
・物事に対する興味の低下等
が生活習慣に悪循環をもたらすことが挙げられます。これらの要因を改善することは認知症の発症を遅らせるのに大きな影響を持つことが期待されています。

シニア世代に特有の要因
「認知症は孤独病」
人間は社会的な動物です。例えば、仕事を辞めると人づきあいの機会が少なくなり、孤独になることが多くみられます。また長年連れ添った伴侶を失うことも孤独を深めます。リタイア後は第二の社会性を作ることが大切です。
「人とのつながり」

社会性を保つということは、人と人がお互いに恩恵を与え合う「互恵性の機会」を与えます。そこから、愛されること、感謝されること、必要とされるといった「いきがい」にもつながります。特に社会から必要とされることが大切です。今までの人生で培ってきた知識、技術、人脈等、シニアだからこそできることがあるかもしれません。
「認知機能を使う活動」
会社勤務等の社会活動があれば日常的に認知機能を使う機会を自然と持つことができますが、リタイアした後は今までになかった時間が手に入る一方、何もしていないと一日中脳への刺激がない生活になってしまいます。認知機能を使う活動を続けていれば、認知症になるリスクが6割低くなる(0.4倍)という報告があります。近年シニア世代にも流行するスマホゲームも認知機能を使うものとして紹介されることがありますが、実は脳の機能のほんの一部しか使われません。例えるなら、「体力向上」を志しながら腕のトレーニングしかしていないようなものです。認知機能を使う活動とは、例えば囲碁、ゴルフといった生涯続けられる趣味を持ち、そのために外に出かけ、仲間と社会性を持ち、スキル向上のために知恵を絞るといった一連の活動を指します。脳にいろいろな面から刺激を与えることに努めるのが重要なのです。
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