創業の想い

当社は、2021年6月に東京にて設立されました。
大学院への留学以来、30年以上、ジョンズホプキンス大に在籍、同大学放射線科の教授としてアメリカに在住する私が、何故、日本で新しく会社を設立するに至ったのか?
その契機となったのは、日本の人間ドック、特にMRI/CT活用の先駆であった日本の医療機関との協議でした。
世界に存在するMRI/CTの医療画像データは、ほとんど全てが病気になった人間のデータです。
一方、日本の医療機関のデータは、健常者について、10年分以上、1万人以上の経過画像データと健診データを保有しており、これは世界に類を見ないものでした。
この数年で飛躍的に進歩した人工知能分析とこの貴重な医療画像データを組み合わせることにより、健診者の現状分析のみならず、将来の状況の推論が出来ると思うに至り、当社を設立し、このプロジェクトに力を注ぐ決意を致しました。
具体的には、第1段階として、今後老齢化の進む日本人の1/4が最終的に罹患すると言われている認知症の可能性の示唆、脳血管や腫瘍に係る分析等、脳関連の分析ソフトウェアを2021年度末をめどに開発。以降、心肺関連、筋肉や骨等体幹に係る分析ソフトの開発を視野に入れております。
日本にのみ存在した極めて有為かつ希少なデータを活用し、最終的には、日本のみならず、MRI/CT先進国の欧米、更に、近年急激に市場が拡大している中国をはじめとする新興国市場をもターゲットに入れ、人工知能と医療画像データから導かれる日本発の医療ソフトを普及出来ればと考えております。それにより、一人でも多くの人に対して、認知症等の重大な疾病に関する「分析と対策」という名の支援を届けることを目指してまいります。
創業者 森 進
森進 -noteはこちら
私たちがターゲットとする課題
認知症の現状
日本では、「10年後に高齢者の4人に1人が認知症*1」になり、巨額の社会的コスト(年14.5兆円)がかかると言われています。発症の10年以上も前から徐々に脳ダメージが蓄積し、発症してしまうと有効な治療法が存在しないという特徴があります。
*1:認知症予備軍とされる軽度認知障害(MCI)を含む(厚労省老健局「認知症施策の総合的な推進について」)

認知症は生活習慣病
認知症は生活習慣病であることが理解され始めています。生活習慣・社会習慣を正すことで予防できるという希望があります。
日本の脳ドックデータのポテンシャル
現在、認知症発症前の40-60代の巨大な脳MRIデータを日本のみが保有しています。それにも関らず、認知症予防の為に脳の健康状態を測定し活用しようとする試みはほぼ行われておりません。
未活用であった日本の脳ドックデータとシステムを使えば、
「認知症リスクをマネジメントする」機会が生まれます。
これが、弊社創業の原点です。
「認知症リスクをマネジメントする」とは?
脳の健康を能動的にモニター・管理し健康を保つ努力をすること、そして認知機能に懸念が生じ始めたら、早期診断に重点を置くこと
①認知症は生活習慣病であることが最近わかり始めています
認知症はアルツハイマー型や脳血管性型があることが知られていますが、そのメカニズム、病気の進行、症状は非常に多岐にわたっていることが知られています。
しかしながら、その多くが遺伝よりも生活習慣に起因する要因の影響が大きいことが最近わかり始めています。
②病変は早期から進行
認知症のほとんどは70歳以降で発症しますが、実は既に50歳くらいから病変が始まっていることが多いことが知られています。

③早期から兆候をつかみ、管理することが予防に繋がる
生活習慣を通して脳の健康を維持すること。そして、認知機能の低下を見逃さず、なるべく早期に診断を仰ぐことが大切です。
株式会社エムのビジョン
データとテクノロジーに支えられた四つの支援

①未病の段階で脳の健康管理を支援する
生活習慣病に対する最大の防御は、病気にならないような日ごろからの健康管理。
そのためには自分の健康を知ることが第一歩。
株式会社エムはMVision healthを通して、未病の段階から脳の健康状態のモニタリングを支援します。
②認知症の早期診断支援
シニア世代においては認知症が徐々に増加し、その早期の診断がよりよい予後の鍵であることがわかり始めています。認知症の診断、予後予測は脳MRIだけでできるものではありません。
しかし、脳の萎縮や血管性病変は認知機能低下の5-10年前から進行が始まると知られています。
株式会社エムはMVisionシリーズを通して、脳MRIの含まれる情報を最大限引き出し、認知症の早期診断とより正確な予後予測の支援を目指します。

③アカデミアの研究支援を通した認知予防、診断、治療の開発
株式会社エムは、MVisionシリーズを通して、アカデミアとの共同研究を積極的に支援し、認知症予防、診断、治療の開発への貢献を目指します。
④脳ドックビックデータ解析支援
上記3つの支援を支えるのが、日本にのみ存在する巨大な脳ドックデータです。過去の脳ドックデータ解析から脳の加齢性変化から認知症へとつながる経過を解明し、個々の受診者の将来データから、認知症予防と早期診断へと繋げることが、株式会社エムの目標です。